Summilux 35mm

どれか1本だけレンズを選べと言われれば、僕は迷うことなくSummilux 35mmを選ぶ。
ご存知のとおりこのレンズに関しては暴走状態に入っていて、タイプ違いを5本持っているのだけど、僕が一番気に入っているのは黒鏡胴のいわゆるセカンドバージョンと呼ばれるタイプのストッパーなしのものだ。

このレンズは僕が一番最初に買ったSummilux 35で、ボディはヤレているがレンズ自体はとてもキレイな物だった。Summilux自体とても憧れていたレンズと言うのもあるが、大口径にしてはコンパクトであることから、海外旅行に行く時はこのレンズ1本で出かけている。もちろんLiverpoolのシリーズも全てこのレンズで撮ったものだ。
ストッパー付きや初期のクロームタイプは質感や操作感の重厚さという点では軍配が上がるが、いわゆる実用性ということではこちらの方が優れている。
ほとんど400で撮っている僕は、昼間の撮影時には絞って撮らなければならない場合が多いが、絞っても固くなりすぎることはなく、柔らかいトーンを出してくれる。

しかしこのレンズの真骨頂は、何と言っても暗いところで撮った描写ではないかと思っている。しかもただ単に暗いところと言うのではなく、室内の薄暗いところや夜の若干光源のある場所で撮った写真の、怪しい雰囲気すら漂う立体感と空気感は鳥肌が立つほどゾクゾクするものがある。
最新式のASPH.は持ってないし使った事もないので分からないが、非球面レンズを2枚使ったASPHERICALはそのへんの妖艶さは出てこない。しかもこのタイプ、35mmにしては逆にでかく、もったいないことにほとんど出番のないレンズとなってしまっている。

先般上京した折、ある方にこの前行ったLiverpoolのものとポートレートを撮ったものを
見て頂いた。8割以上が例のSummilux 35で撮ったものであったのだが、描写、ボケ、立体感など盛んに感心しておられた。このことはある意味僕にとって、大きな自信と確信を与えて下さった。その方も以前所有されていたそうなのだが、あまり気に入った描写ではなかったので手放したとのことであったが、僕の作品をご覧になって、いくらか食指を動かされ ている感があった。

以前はクズ玉、ボケ玉などと酷評され、優等生のSummicronの影に隠れて人気のなかったレンズも、最近はその独特な写りが評判を呼び結構な高値で取引されている。
確かに開放で撮ったときに光源が入り込むと、ゴースト、フレアーのオンパレードとなる。
そんな偶然が単なる「おもしろい」ではなく、そんな偶然を意図的に使って作品が撮れないかとも思っている。

Beatlesの曲にI feel fineという曲がある。この曲のイントロのハウリングは、ジョンが偶然ギターに触れた時に出た音をヒントに入れたと言う話がある。
今はまったくの構想状態であるが、僕はいつかLiverpoolでBeatlesの曲を題材に写真を撮りたいと思っている。
たとえばI feel fineをイメージして撮る時に、このゴースト、フレアー効果を有効に使えば、ギターのハウリング効果に似た、面白い写真が撮れるのではないか?などという思いを抱かせてくれる、そんなレンズなのだ、僕にとってのSummilux 35は。

35mmはこれ一本で!と言い切りたいところなのだが、煩悩・欲望の塊の身としては中々踏ん切りがつかない。

ただしこのレンズでいい写真が撮りたいから、今はなるべく引っ張り出して、色々トライしていこうと思っている。
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Liverpool Queen's Square
Leica M6 + Summilux 35mm
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by liverbird | 2008-10-29 23:25 | Photo
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